どんな本なの?
経営の王道-リーダー、トップは証券営業の神様豊田善一に学べ
初版・2001年6月1日
野村證券に「豊善」あり。
そのエネルギッシュな営業ぶりから「ブルドーザー」のあだ名も。
大タブチこと田淵節也氏と名コンビと言われ、元野村證券副社長、国際証券社長・会長、KOBE証券会長として生涯、証券業界で活躍してきた豊田善一氏。
証券営業の神様と言われた豊田氏の経営哲学をとらえた一冊。
その経営理論は「正攻法」
剣道をしていたこともあり正剣とも例え、対象となるのは邪剣。
フェイント・小細工を重視して一時的に正剣に勝ててもレベルに頭打ちがある。
正剣の如く、王道を歩むこと、正攻法で真正面から物事に取り組むことに重視。
どん底からトップへ
・野村證券梅田支店の設立に伴い成績が全国最低で、どん底状態の元本社・大阪支店営業部の部長に赴任。
・1年後には全国ダントツトップへ。
・4課体制にし、課長席を同期社員で並べた。
・課は地域・業種など担当に区切りを持たせず競争させる展開へ持っていく。
・部下を怒鳴りつけることは一度もなく理詰めで計画的。
・明確な指示を与え、隙も無駄もないレールを敷いて部員が働かざるを得ない状態をつくる。
・自らが率先して外交。筆まめ。ほめ上手。
・株の仕切り販売の拒否。回転商いをしない。
※仕切り販売・・・現在はありえない営業手法。自己で買付けた株を市場を通さず価格も決めて販売する手法。当時はインターネットでリアルタイム株価を見れるような環境でなかったため特に可能だったと思われる。
※回転商い・・・1顧客の口座内での売買を多く重ねいてく手法。手終了に違いがありますがデイトレーダーみたいな売買を対面でするイメージです。
国際証券社長へ
規模は業界5位、しかしS63年3月中間決算では経常利益は業界トップに。
野村時代のモーレツ経営から一変「耐えて、耐えて、和して進む」をスローガンとする。
愚直なまでの正直・真面目な集団作り。
・エチケット・マナーの重視。
・明るく丁寧、礼儀正しい証券会社。
・アウトソーシングにより高度な情報を収集。
・人事を減点主義でなく得点主義に変更。
後のKOBE証券時代。独立系を強みに世界一の情報・商品を集め、マナー・顧客の利益のみに徹することに最大に努力する会社へと成長させる。
豊善語録
・徹底的な顧客満足主義。顧客の利益の追求、情報提供での貢献する。
・日本経済・中堅企業の活性化。すなわち株式の公開である。
・サラリーマンなら会社に借りをつくるな、貸しをつくれ。
いつの時代も変化が必要
当時も、現在も常に「働き方改革」というものは推進されているものだと感じました。
また、野村證券という企業カラーでモーレツや昭和臭がする話もありましたが、豊田氏の手法は現在の社会でも必要である考え方ではないかと思います。
少し疑問だったのがなぜこのような人格者が野村證券のトップに立てなかったのか。立たせてもらえなかったのか。
いつの時代も信念を固め、変化に対応できる人が生き残れるものだと改めて感じさせてもらえる一冊でした。
(カネコ)